『私の気持ち知ってて好きになったんですか!?ひどい!』
『ごめんね!でもどうしようもなかったの!』
――みたいな修羅場になると覚悟してたんだけど……。
予想と全く違う展開に頭が追いつかずにいる私を見て、天音ちゃんはクスリと笑う。
そして、ちゃんと姿勢を正して真摯に向き合う意思を示した。
「私は近江くんのこと、好きではないですよ。」
「えっ」
そうなの!?でもあの時の天音ちゃんの表情は確かに恋する人の顔だったのに!
「良い人だとは思いました。話してみると意外と楽しかったし……。
恥ずかしながら、私は初恋もまだなんです。」
いや、初恋まだはつい最近まで私も同じ……。
これを好きじゃないと断定していいの?
自覚してないだけじゃないの?
「だから、近江くんに対する気持ちが恋だと言われたら、そうな気もするし、そうじゃない気もする……
そんな位の気持ちなんです。」
私に遠慮してるのか、とか。
天音ちゃんにとってそれはいいことなのか、とか。
ぐるぐる思考が散らかって何を言って良いかわからなくなっている私を見つめて、天音ちゃんはまた話し出す。
「姫ちゃんはどうですか?近江くんのこと、どの位の気持ちで想ってるんでしょうか?」
天音ちゃんの優しい声色が胸に刺さる。
だから素直に、近江涼介のことを想う。



