「な?大丈夫だっただろ?」
体育館の陰に潜んで様子を見ていた真が、今にも駆け出さんと身を乗り出している天音の手首を掴みながら淡々と言った。
「まーくんが止める側になるなんて、大人になったねぇ。」
“ここでアイツの味方の俺達が飛び出したら、姫がやろうとしていることが台無しになるだろ”
そう言って天音を引き留めた真の姿を回想して、聖がしみじみと頷いている。
「うるせぇ!いちいち茶々いれんじゃねぇ!」
「真、声。見つかる。」
1番後ろで様子も見ずに立っていた涼介が落ち着いた声で嗜める。
それで慌てて完全に3人物陰に引っ込んで姿を隠した。
「……姫ちゃんは過去の自分とちゃんと向き合って、清算しようとしていたんですね。」
天音は神妙な面持ちで呟いて、掴んでいた真の手を振り払う。
「こうすべきって決めたらまっすぐ突き進んでちゃんとぶつかる。
実にひーちゃんらしい猪みたいな行動だよねぇ。」
「無鉄砲すぎて周り置いてけぼりだけどな。
ぶつかられた方ビビってんじゃねえか。」
「そこがアイツの残念なところ。」
ワイワイと姫の悪口で盛り上がっているのに全く悪意を感じないどころか、姫に対する親愛すら感じる。
そんな3人のやりとりを、天音は呆然と見ている。
そして感じたことをポツリと溢すように呟いた。
「……姫ちゃんのこと、本当に大切に思っているんですね。」
3人はピタリと会話をやめて一斉に彼女の方を向く。
そして当然の様にこう答えた。



