姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―


背筋を伸ばして、1人1人の顔を見るように全体を見渡す。それから大きく息を吸い込んで、勢いよく頭を下げた。

「ごめんなさい!!」

脈絡もなく突然謝り出した私に、女共は目を白黒させてざわつき出す。

「噂は本当だったんだ」とか、
「怖い怖い」とか、
とにかくいろんな言葉が飛び交うが、私が頭を上げると再びしんと静まり返った。


「昔女にいじめられた仕返しでアン……貴女達がチヤホヤしてた男を片っ端から誑かしてました。
嫉妬心刺激して悔しがる顔見て、溜飲下げてたというか……。」

ほんの少しだけ声が震える。
非を認めるってこんなに怖いことだったのか。

「でもそれは人の心を傷付ける悪いことだったって気づいたから、だから、辛い気持ちにさせてごめんなさい!」


誰も動かない。風も止まったみたいに静かになる。
数十人分の視線が、刺すみたいに私の背中にのしかかる。

「性格悪……。」

誰かの一言で、また批判の声が溢れ出す。

「わざとやってたってことでしょ?最低だよね。」
「謝って済むと思ってるのかな?」

厳しい言葉が刃物みたいに刺さる。
でも私はそれをちゃんと受け止めなくちゃいけない。

許しを乞いたいわけじゃない。
自分の過ちをちゃんと正して進むためだ。


「あっ……あの!私は、許します……!」

か細くて震えているのに振り絞った大声が、救いの光のように批判の嵐を切り裂いて黙らせる。

驚いて顔を上げ声のした方を見ると、人混みの奥に真っ直ぐ手を上げて緊張した顔をしている小林円が立っていた。