姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―


「……おはよう!」
「……おはよう。」

緊張混じりの私の挨拶に、淡々とした声が返ってくる。
直前まで考えていた内容も相まってドギマギしながら歩いていると、近江涼介が私の顔をジッと見てきた。

「……なんか顔色悪い?」

寝不足に気付かれた。
とんだ失態だと思うのに、そうやって些細な変化に気付いて心配してくれるのが嬉しくもあって。

「……まぁね、ちょっと寝不足なだけ。」

緩んでくる口元をなんとか制御してニヤつくのを堪える。

恋とはなんてゲンキンなんだろう。
悩んでいたモヤモヤを、今だけ忘れ去ってしまう。

「姫ちゃん、近江くん、おはようございます。」

再び背後から声を掛けられて振り返る。
そこには今日も明るい笑顔の天音ちゃんが立っていた。

「今日は元気そうでよかったです。この間は様子が変だったので心配してたんですよ。」

「あー、あれは……」

「相当心配かけてたな。俺のところにまでわざわざ姫の様子聞きに来たし。」

何気ない近江涼介の発言にピタリと時が止まる。