姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―


「姫?」

ボーッとしていた私の顔を、傑兄ちゃんが覗き込んできて思考が途切れる。
胸に残るモヤモヤを誤魔化すように首を振ると、私は傑兄ちゃんの方に向き直った。

「なんでもない!
……あとさ、もし兄ちゃんが友達と同じ人を後から好きになったら、どうする?」

「人間関係グチャグチャじゃん!どんな漫画読んでるんだよ、兄ちゃん心配だよ。」

「もう、そういうのいいから!」

「えー?……俺なら、“ごめん!カブッわ!”て軽く言うかなー。
で、どっちが選ばれても恨みっこなしなって方向に持ってく。」

「その心は?」

「仮に俺かその友達のどっちかがその子と両想いになった時に、その友達との関係にしこりを残さないようにするため?」

「両想い?」

「え?いや、好きになったらあるだろ?最終的に付き合うとか、告白するとか。」

「…………そうなの?」

「少女漫画って大抵そうじゃないの?現実も大体そうだよ。それかずっと密かな片想いでほろ苦い思い出になるか。」


(そ、そういうものなのか……。)


新たな世界を知ったような気持ちになって、神妙な面持ちでごくりと唾を飲む。

意図のわからない質問責めに疲れてきたのか、傑兄ちゃんが欠伸をしてから私を夕飯の支度に誘って、話はこれで終わりになった。