翌日の朝、私はキリリと引き締まった気持ちで登校していた。
冬の朝の冷え込んだ空気が、その意気込みを後押ししてくれている様に感じる。
(榛名聖に言われて気付いた。
私としたことが、恋愛ごときにはしゃいで浮かれポンチになっていたのね。)
そうと判ればあとは楽勝。
感情のコントロールなんてお茶の子さいさい朝飯前よ。
不敵な笑みまで溢れ出すわ。
「フフフフフ……」
「怖。」
「ギャッ!」
背後から突如湧いて出た淡白な声に飛び跳ねた。
最近こういうこと多くない?私。
バクバク言っている心臓の音をそのままに、驚いた顔のまま立ち尽くす。
「……朝からうるさい。」
近江涼介はほんの少し眉を顰めてそう言うと、ごく自然に私の隣に並んだ。
――いきなり現れたせいで不覚を取られてしまったけど、今日こそは負けたりしないから!
何の勝負をしているかは自分でも不明だが、とにかく勝つぞと意気込んで気を引き締め直す。
(ゔッ眩しい……!)
ソツのない横顔がキラキラオーラを放っている様に見える。
恋の威力恐るべし。
女共が卒倒していた理由、今なら少しわかる気がする!
「うううるさいとは失敬な!
私が笑えば世界も笑うし、私の声には100万ドルの夜景以上の価値があるのよ!」
動揺を隠し強気な笑顔を取り繕う。
たおやかに自分の髪を手で払って余裕綽々な態度まで見せてやった。
「………………。」
「無視!?」
平常過ぎるほどいつも通りな近江涼介のクールさに、緊張が吹き飛んでしまう。
勢いに乗って喋ってしまえば案外いつも通りになって、気負わず近江涼介の隣を歩いている。
――それが何だかすごく嬉しい。



