今まで見たことないくらい弱気な顔をしている姫の頬を、両手で挟むようにしてバチンと叩いた。
「――痛ッ」
痺れるような頬の痛みに、姫の表情が歪む。
そして何が起こったかわからないというように、泳いだ目で俺を見た。
姫の頬は冷え切っている。
自分の手の熱を伝えるように、両手でその頬を囲ったままにした。
「恋したくらいで関係が壊れるわけねぇだろ。
――その証拠に、」
グラグラと崩れそうな丸い姫の瞳としっかり目を合わせて断言する。
何か言おうと姫が口を開きかけたのを、続く言葉で遮った。
「俺はずっと前から姫に恋してた。
――でも、俺がお前に遠慮したことなんてあったか?」



