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いつか、榛名聖達と出会した自販機コーナーはいつ来ても人が少ない。というか誰もいない。
喉乾いてるわけではなかったし、ジュース飲みたい気分でもないし。
走ってきて荒くなった呼吸を整えながら自販機コーナーの壁に寄りかかる。
(協力できたよね?私。
上手くやったよね?)
楽しそうに近江涼介に話しかける天音ちゃんと、ちゃんと返事をする近江涼介の姿を思い出す。
近江涼介が天音ちゃんと仲良くなれば、きっと彼女の真っ直ぐで眩しい強さに気づく。
そしたらきっと彼女とも仲良くなって、それから……
『お前、結構やるな。』
『友達できたな。』
『ずっと友達、だよ、ね?』
『当たり前だろ。』
あの惜しみない優しさを彼女にも向ける様になるのだろうか?
胸の奥がじくりと熱を持って、息が少し苦しくなった。
……そりゃそうだ、近江涼介はなんだかんだ優しくて、友達思いな奴だもん。
でも例えそうだったからって、天音ちゃんと近江涼介がどういう関係になったとしたって、私と近江涼介が友達ってことは揺るがない。
だから、心配したり暗くなったりする必要なんてどこにもないのに。
「はぁ……、やっと追いついたぁ。
もう、速いよ〜。ひーちゃん。」
緩く脱力しきった声に、思考が途切れる。
見れば榛名聖が息を切らしながらも柔和な笑顔を浮かべ、自販機に向かって歩いてきた。



