姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―

「ちょっと!いきなり何すんの!?」


まだ私の手を掴んでいる無表情の近江涼介を、私は驚いて見上げる。

そばにいる榛名聖と金髪も、何が起こったかわからないというように目を丸くしている。


「やりたいのかと思って。ダンス。」


何も言っていませんけど!?


否定する間も無くまた強制的にターンさせられる。

無表情のくせにちょっと楽しそうな近江涼介の雰囲気を察知すると、悔しくなって奴の両手を強く握った。


「何、すん、のっ!」

お返しとばかりに両手を掴んだまま一回転すると、その延伸力に着いていくように回る近江涼介。

回りきる前に金髪にぶつかって、軟弱なバカはよろけてしまった。

「ってーな!
お前らのはダンスじゃなくてただの戯れ合いだわ!」


ぎゃーぎゃーと騒ぎながら、私が近江涼介を掴んでいた片手を振り解かせて輪に加わり思い切り振り回してくる。


温かく明るい炎の灯は届かない。

真っ暗闇で、訳もわからずただお互いを振り回し合っているだけ。


「えー、ずるい。俺も入れてよ〜。」

なぜか榛名聖も入ってきて、平和なフォークソングなんて丸無視でコーヒーカップのように4人でくるくる回り続けた。