姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―

ウチのクラスは勉強上位クラスなのと引き換えに運動は微妙な奴が多い。
この3on3も聖と涼介以外の奴らのプレイはなかなかお粗末なもので、だからほぼ2人の1on1状態でそれも相まって余計に華やかに見えるのだろう。

もはや授業そっちのけで涼介と聖の試合観戦状態になっている状況にため息を吐き、腕を組んで窓の外を見ていた時だった。

「まーくん、危ない!!」

聖の切羽詰まった声色に反応して前に向き直ると、すごい勢いで眼前にボールが飛んでくるところだった。
咄嗟に腕で頭を庇うと、ガン!といい音と共に腕にそれなりの衝撃と痛みを覚えた。

「あっぶね……!」

ボールがぶつかった腕の痛みを逃すようにブンブンと振る。
痛みはあるけど怪我はしていない。そんなところだろう。

恐らく暴投をした張本人であろう、真っ青になってこっちを見ている奴と、心配そうに見ている聖達に「大丈夫」と頷いて示すと、向こうから姫がすっ飛んできた。

「ちょっと!大丈夫!?」

1つにまとめていた髪を揺らして走り、俺の目の前までやってきた姫にギョッとする。
ギャラリーも同じように驚いていて、俺も面食らって固まっている間姫は1人深刻な顔で喋り続ける。

「すごい音がしたじゃない。頭を打っていたら大変!保健室に行かなくちゃ。
先生、私が付き添います!」

スッとまっすぐ綺麗な挙手と共に、姫は体育教師に向かって曇りのない真剣な視線を向ける。
体育教師も「お、おう……」と若干気圧されながら頷いたので、俺は姫に付き添われて保健室に行くことになった。