姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―


外へ出ると、辺りはもう真っ暗だった。
図書館の敷地内にポツポツと立っている古い街灯がぼんやりと暗闇を照らしている。
図書館の建物から公道へ続くほんの数メートルの道を並んで歩き、その境界で立ち止まって向き合った。

「今日はありがとう。困った時はやっぱり近江涼介ね!」

素直にお礼を伝える照れ隠しに、冗談めかした調子で笑う。
近江涼介は最後の最後まで無表情でそんな私を見ている。

「……ただ話を聞いただけだろ。」

言いながら、小さく笑った近江涼介の手が私の頭へと伸びる。

いつもの仕草に私も構えて反射的に目を伏せたのに、その手は途中で止まって近江涼介の元に帰っていく。

「友達、だからな。」

まるで念を押すような言葉は、誰に言い聞かせたのだろうか。

「……うん。」

冬の夜の冷たい風が私の髪を靡かせる。
捲れ上がった前髪を手櫛で直しながら、「じゃあね」と近江涼介に手を振って2人反対方向へと歩き出した。