ドクン、ドクン。
自分の心臓の音が聞こえる。
ほんの少しだけ、切なくて痛い。
後頭部を包んでいた手はするりと髪の上を滑り、毛先を掬い取ると名残惜しそうに離れていく。
自分が引き寄せたというのに、その後握っていた手も離れて肩を押されて引き離された。
「呼ばれ方違うと違和感で気持ち悪い。」
「だっ、だよね!私も変な感じしたもん!」
わかりやすく眉を顰めた近江涼介に、慌てて私も同意する。
「…………。」
「…………。」
近江涼介は何事もなかったかのように頬杖をついて窓の外を見ている。
長いまつ毛が彼の頬を翳らせて、物憂げに見える横顔に小さく息を呑んだ。



