姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―


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「――でね、私がそう言ったら天音ちゃんが……」

私達以外誰もいない図書館の学習スペースの一角で、隣に座る近江涼介に今日あったことを全部話す。

悩みを話そうとしたのに、「今日はどうだった?」と聞かれてしまったからだ。

榛名聖に友達確認を勧められたこと
緊張したけどちゃんと天音ちゃんに確認できたこと
天音ちゃんが友達だと認めてくれたこと
姫ちゃん天音ちゃんって呼び合うことになったこと
それが物凄く恥ずかしいこと……

どんな時でも近江涼介は私が話し終わるまで黙って聞いてくれるから、つい話し過ぎてしまう。

「よかったな、初の女友達。」

天音ちゃんと友達になるまでのエピソードの余韻でまだぽわぽわとしている私を、近江涼介は真顔で見つめている。

「うん、嬉しい……かも。まだ実感ないけど……。」

夢心地のまま返事をしたからぽろっとらしくないことを言ってしまった。
それを聞いた近江涼介は、フッと小さく笑った。

「――あ、でもね!天音ちゃんは男嫌いで、近江涼介達のと女を弄ぶとか軽薄とかなんとか言ってたでしょ?

あの後3人ともいい奴だって言ったんだけど、納得してなさそうだったの。
だからそこだけ私は納得がいかないというか――……」

ここでようやく話したかったことを思い出して、グズグスまとまらないままの悩みを打ち明ける。

私の言葉が途切れると、不意に、近江涼介が少し強めに私の頭をポンポンと撫でた。