姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―


「まぁ、偶然会ったことにしておいてあげるわよ。」

「あれ〜、もしかして尾けてたのバレてる〜?」

「あったりまえでしょ!」

「いや、全く気づいてなかっただろ。」

私と榛名聖、そして他2人も会話に混じってワイワイし始めたところで、天音ちゃんの存在を思い出す。

私としたことが、今日出来た友達のことをすっかり忘れてしまっていた。

改めてちゃんと3人にも友達になったことを話したいし、天音ちゃんにだって紹介しないと……

「そうだ!あのね、その、天音ちゃんと友達になれたの!だから……」

緊張で早口になりながらそう言って天音ちゃんの方に振り返る。

天音ちゃんは私を追いかけてきただろうに、数メートル離れたところに立っている。

さっきまでの朗らかな笑顔はそこになく、嫌悪を滲ませた顰めっ面で黙って近江涼介達を睨んでいる。

「あ、天音ちゃん……?」

私が置いてけぼりにして、怒らせてしまったのかと思いドキリとする。
しかし、天音ちゃんは緊張した様子の私と目が合うと、コロッと優しい笑顔になった。