「で、今のことを踏まえると?友達?」
チラリと視線を栗谷天音の方向へと投げる近江涼介。
それでも私は歯切れ悪く唸る。
「ともだ……、いや、でもちょっとお茶して喋っただけだし……
友達…になってたのかしら……でも、女……」
上を向いたり下を向いたりして、栗谷天音の言動を思い出して悩み続ける。
ちょうど何度目かに上を向いたタイミングで、近江涼介が真上から私の顔を覗いたのでバチンと視線がぶつかった。
「女嫌いの姫がそんなに悩むってことは、心に留まった何かがあったってことなんじゃないの?」
近江涼介の言葉に、悩んでぐちゃぐちゃの思考がピタリと止まる。
“姫ちゃんは友達のために怒れる優しくて友達思いのいい人です!私はそう思いました!”
そして、あの時の栗谷天音の言葉を鮮明に思い出してカッと顔が熱くなった。
「友達できたな。」
改めて認識させるようにゆっくり丁寧にそう言った近江涼介に、返す言葉が見つからない。
どっちつかずの悩みはとっくに飛んでった。
(手、振り返せばよかったな。)
心の中でポツリと後悔だけが残った。



