不毛ないがみ合いはまだ続いている。
「高校生で髪を派手な色に染めるような、軽率な男なんて信用できません!
姫ちゃん、今すぐこの男から離れてください!」
「な゛……!んな事テメーに関係ないだろ!
校則違反してるわけでもねぇし好き勝手言ってんじゃねえ!
お前が姫から離れろ!」
「そうよそうよ!金髪は広瀬真の憧れが詰まってるんだから!
軽々しく否定しないでくれる!?」
バチバチの栗谷さんとまーくん。
そして間に挟まれ、両者の味方を行ったり来たりするひーちゃん。
俺は完全に蚊帳の外。
各々が自由に主張しているせいで微妙に噛み合ってない口喧嘩を遠い目で眺めていると、ポケットのスマホが着信を知らせて振動した。
「もしもし?ごめんねぇ、不穏な連絡したっきりで。」
電話の相手は涼ちゃんだった。
こちら側も十分にうるさいが、涼ちゃんもどこか人混みの中にいるのか電話の向こうもざわついている。
むしろあっちの方がうるさいようにも感じられる。
「――いや、それより姫は……、
…………見つかったみたいだな。」
喧嘩の声、聞こえたのかと苦笑い。
電話口からホッとした吐息が聞こえる。
涼ちゃんの声音からも安堵しているのが伺える。



