姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―


(今何が起こっている……?)

まーくんの背中側から見た2人はキスしているように見えなくもない距離感だ。でも音がおかしい。

ハラハラしながら目を見張っていると、ひーちゃんが大きな声を上げた。

「〜〜っ、痛ッッたぁああ――!!

いきなり何すんのよ!?頭おかしいんじゃないの!?」

自身の額を抑えたひーちゃんが涙目になりながらまーくんを睨む。
険しい顔のままフン、と鼻を鳴らすまーくんの額も中央が赤くなっている。


(頭突き!?もしかして頭突きかましたの!?)


予想外すぎる行動に本日何度目かの脱力。
そうしている間に次に声を上げたのはまーくんだった。

「っのバカが!!独りになったんなら連絡ぐらい入れろ!
心配するだろーが!」

「なんで置い……逸れたこと知ってんの!?怖っ!
ていうかしょうがないじゃない!スマホの充電切れたんだから!」

「公衆電話でもなんでもあるだろ!」

「アンタ達の番号なんていちいち覚えてないわよ!」


「…………。」

至近距離でギャーギャーと喚き合うひーちゃんとまーくんのいつもの喧嘩風景に、さっきまでの焦燥も懸念も全てどうでもよくなる。

まーくんは自覚した気持ちを隠せてたわけじゃない。

自覚したか否かが違うだけで、ひーちゃんに対する好意はずっと前から変わってないんだ。

だから自覚後も態度が同じだっただけ。


ド真面目で純情な単純バカに、気持ちを隠すなんて芸当できるわけがなかった。

それなら変わらず、ずっと友達のまま仲良く喧嘩していればいい。