――――――
――……
「っはぁ、もう早いよまーくん。1人で走って行くんだもん。」
真がスマホでどこかに電話をかけるために立ち止まった隙に、追いついた聖が息を切らしながら言った。
「繋がらねー。電源切れてる。
何やってんだアイツ……!」
真の切羽詰まった表情を見て、姫に電話をかけようとしたのだと見当をつける。
「そんなに心配しなくても、ひーちゃんだって子どもじゃないんだし大丈夫だよ。
まーくんだっていつもひーちゃんのこと凶暴だ何だって言うじゃない。」
聖だって姫が心配じゃないわけではない。
ただ、自分以上に取り乱している真を一度落ち着かせる意味合いでそう言ったのだ。
「ここは学校じゃねぇんだぞ!悪意を持って近づく奴なんかいくらでもいるだろ!
アイツ見てくれだけはいいんだから何かあったら……
あ゙ーッもう!」
聖の言葉は今の真には響かない。
真は乱暴にスマホをポケットに突っ込むと、聖が息を整える間も与えずにまた走り出す。
「ちょっとまーくん落ち着いて!
がむしゃらに走ったってひーちゃんは見つからないでしょ!」
追い越す人々の影がどんどん残像になっていく。
耳に聞こえるのは起こした風の音だけだ。
「ほら、今涼ちゃんにも連絡いってないか聞いてみてるから……」
真の後を追いながら、聖はスマホを取り出して涼介に電話を繋げる。
こちらは簡単に繋がったのか、電話口で「何?」と淡白な声がした。



