弧を描く口元とは裏腹に笑っていない聖の表情は、“わかるでしょ?”とでも言いたげだ。
涼介も、聖の言葉の意味がわかるからこそ何も言わずにじっと彼を見つめている。
2人しばらく見つめ合った後、涼介が長い溜め息をついた。
「……俺は姫が望まないことはしない。」
「涼ちゃんはね?問題はまーくんだよ〜。
真っ直ぐすぎるし、絶対気付いてないしで、何しでかすかわからないところが怖いよねぇ。」
やれやれと首を振る聖に、涼介は淡々と言葉を返す。
「……それは姫と真の問題で、聖には関係ないと思うけど?」
「まぁね。でも俺は不必要に傷ついてほしくないの。ひーちゃんに。」
進路の話をしたあの日。
泣きそうに笑ったひーちゃんの横顔が、まだ胸に刺さったままだ。
自分の予想は正しかったと確信持って、大切な友人の心を今度は自分が守ろうと誓った。
「ひーちゃんを大事に思う気持ち、涼ちゃんならわかるでしょ?」
“形は違うかもだけど”という言葉は心の中で呟く。
聖はそれ以上何も聞き入れるつもりはないと、涼介に「おやすみ」を伝えて自分の部屋に入ってしまった。



