姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―


「というかなんかひーちゃんの髪ボサボサじゃない〜?
俺ヘアゴム持ってるから結んであげるよ。」

ボサボサ……
さっき近江涼介にぐしゃぐしゃにされたからか。

「ありがとう……でもなんで持ってんのよ……」

言っている間に榛名聖が私の後ろに回って、手櫛で髪を梳かしていく。

「あれ?いつもとシャンプー違う?
こっちもいい匂いだね〜。」

「んー、旅行用の使い切りタイプのやつ持ってきたから。試しでいろんなメーカーの用意して気分で使い分けてる。」

手際よく髪が纏められている感覚がして心地よさまで覚えてきた。
旅行の疲れも相まって少しうつらうつらし始める中、榛名聖は上機嫌で喋り続ける。

「ほら、フローラル系かな?いい匂いじゃない?
ひーちゃんちょっとまーくんの方に頭傾けて〜。」

「んー……」

言われたまま、隣に座る広瀬真に向かってこてんと首を傾ける。

いつもと違うシャンプーだから、髪が揺れるとふわりとフローラルの香りが広がるのが自分でもわかった。