――凝視されているのに気づき、姫が2人の方を見る。
自分の料理の腕に意外性を感じている様子を察知すると、とびっきりのキラキラスマイルをお見舞いした。
「料理スキルは女子の基本だよねぇ♡」
勝ち誇った姫を見ても、まるでなにも感じていませんとばかりに聖はいつものまばらな拍手。
「すごいねぇ、意外な特技〜。」
そして真はドン引きしたように苦笑いしている。
「そんだけ努力できんならそのパワーもっとポジティブな目的に使えよ……
さっきのクッキーもプロ並みに美味かっ……」
「美味か?」
不自然に言葉を途切れさせた広瀬真を、榛名聖は不思議そうに首を傾げて見つめる。
真の頭の中には、口にクッキーを無理やり詰め込まれた時の記憶と、不敵にニヤつく腹立たしい姫の顔が渦巻いている。
目がぐるぐると回って、顔がカッと赤くなった。
「う、ま…美味…
美味くねぇえ!あんなもん――!」
ドカーンと爆発したような叫び声に、周囲の生徒がビクッと揺れる。
姫の周りに群がる男子達は、包丁を持ったままびくついた姫の身を案じていた。
「…どうしたのかなぁ?広瀬くん。
変なキノコでも食べたのかな?」
鍋を抱えたままドスドスと乱暴な足音を立ててどこかへ去っていく真とそれを追いかける聖を、それはそれは心配そうに見つめながら内心笑う姫なのだった。



