姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―



次の日の夜、俺は父親がいないのを見計らって母親にそのことを話した。

「母様、今日聖くんと話をしていて驚いたことがあります。

聖くんは自分のことを自分で決めるらしいのです。
どうして僕はただの一つも自分で決めることができないのでしょうか?」

子どもの純粋でまっすぐな疑問に、母親は驚いて目を見開く。

母親の自室の畳の上で、向かい合って正座している俺を少し見つめた後、ふっと小さく笑った。


(この微笑みは高橋さんのと同じだ。)


俺の境遇を憐んでいるのになす術がない自分の無力さを嘆くような、そんな悲しみを隠す笑顔。


「真さん。」

次の瞬間、母親の笑顔は消え、凛と背筋を伸ばして真面目な顔つきになる。

俺もそれに引っ張られて、自然と背筋が伸びた。