姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―


「まずはご飯をおにぎりの半分量、手のひらに乗せて……」

見本を見せながら説明してくれる高橋さんの指示に従って、同じようにやってみる。

やってみるだけでそう上手くはいかなくて、指の間からご飯がこぼれ落ちたり、形が歪だったり……
だけど、何回かやるうちに少しずつコツを掴んできた。

「そうそう。握る時はあまり力を入れずに。こんな風に。」

高橋さんの職人の所作は鮮やかで思わず見惚れた。
始めて数十分の俺には到底できない技だった。

「すごいね、高橋さん!
きっといっぱい頑張ってきたんだね!“努力の証”だね!」

彼の手のひらに乗る綺麗でふっくらおいしそうなおにぎりを見て、無邪気に笑う。

高橋さんは俺の言葉に驚いた後、なぜか少しだけ悲しそうに笑った。