姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―


そんな環境で育った俺が曲がらずに済んだのは、父親以外の周囲の人がいい人だったからだと思う。

「坊ちゃんまた泣いてらっしゃるんですか?
さぁこれで涙を拭いて。お父様には黙っておきますから。」

「真坊ちゃん、今日もいい朝ですねぇ。そういえば知っていますか?最近お庭にメジロが飛んでくるんですよ。」

「奥様のお部屋の花、坊ちゃんが生けたそうですね。上達しましたね。」

料理を作ってくれる人、家中を掃除してくれる人、庭を整えてくれる人……
家の中にはたくさんの家族以外の大人がいたけど、みんな俺に温かかった。

何でもない話をしてくれて、何かあれば褒めてくれたり慰めてくれたり。

だから父親もいろんなレッスンの講師もめちゃくちゃ厳しかったけど、気持ちが折れることなく頑張れた。