姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―


―――10年前

「お前は広瀬家の跡取りなんだぞ。広瀬の名に泥を塗るな。」

物心ついた時から俺が何かを間違う度、そう言って父親に叩かれた。
複数の外国語に自国、他国の礼儀作法、ビジネスマナーに伝統芸能、護身術、その他諸々。


“広瀬の跡取りとして、言い訳も弱音も許さない。

跡取りになるために必要なことだけをしてそれを完璧にこなせ”


そう言われ続けていた。
自由な時間なんて少しもない。


見た目が白くて細くて女みたいで、弱々しかったのも父親は許せなかったらしい。

だから軟弱だと決めつけてとても厳しく躾けられた。


今思えば小さな子どもがこなすには無理がある勉強量と要求だ。

――でもやった。やるしかなかった。

鋭い目で睨まれ、低い声で厳しく叱られ張り倒されたら、睡眠と食事以外の時間を捧げて何が何でもこなす以外の選択肢がなかった。