全員いなくなったあと、広瀬真はぽつんと残った私に気づく。そして矛先がこっちを向いた。
「お前もなんで黙って見てんだよ!抵抗しろ!
晒しモンになってんだぞ!」
「いやいやいや、グッジョブ広瀬くん。」
爽やかな笑顔で親指を立てた私に、広瀬真は目を吊り上げたまま「ハァ!?!?」と首を傾げた。
「見た?女共のあの訝しがる顔!
聞いた?“広瀬くんってやっぱり藤澤姫のこと好きなのかなぁ?”って不安そうな声!
私がキス(フリ)するよりダメージ絶大!もう最高に愉快♡」
シャランラ〜と華やかな効果音が聞こえそうなほど上機嫌に両手を広げる私を見て、広瀬真の怒りがスンと収まりみるみるうちに目が座っていく。
「お前ってそういう奴だったわ。もういいや。先行く。」
呆れることはいつも通りとして、背中を向けられたのは初めてでちょっと焦る。というかなんか怒ってる?
「ちょーっと?真くん?」
機嫌を取るように笑って見たけど振り返ることはない。
「俺はお前の復讐の道具じゃねぇ!」と乱暴に言って歩いていってしまった。



