「こちらの特典は我が校の全男子の憧れ、“藤澤姫さんからほっぺにキス”というものになっていますが……
お二人とも心の準備はよろしいでしょうか?」
会場から悲壮な悲鳴が上がる。
男も女もみんなが血眼で成り行きを見守っている。
私と広瀬真が静かに向かい合う。
途端、会場に静かな緊張感が走った。
広瀬真の目にはひしめく観客席の中に、自分たちを見ている近江涼介と榛名聖がいるのが映っている。
――どうしてか気持ちが急かされて、不意に目の前の姫へと向き直る。
「――予定通り、“フリ”でいくから。」
ほとんど口を動かさず小声で広瀬真にだけ伝えるも、応答がない。
聞こえただろうしまぁいいかと一歩近づいた時、広瀬真が隣にいた司会者にマイクを渡すよう求めた。



