姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―


「いやぁ、お客さんみんな見惚れてますよー!
何か一言お願いします!」

そう言って司会者がマイクを向ける。

すると真はチラリと舞台袖に目配せし、スタッフにスケッチブックを持って来させた。

何が始まるのかと一同またも静まり返る。

真はしばらくぎこちなく口元をもごもごさせていたが、スケッチブックを裏返すと同時にニコッと控えめに微笑んだ。


“清き一票おねがいします♡”


アイドルのコンサートグッズのような装飾がなされたスケッチブックに大きく書かれたその文字に、今日何度目かの大盛り上がり。

『絶対喋るな!夢を壊すな!一言を求められたらこれを持て!』

という姫の指示は的確だったようだと、真は内心ホッと、というかゾッとした。

「それではお待たせしました!
ミスターコンテスト、優勝者を発表いたします!」

投票タイムの後、司会者が高らかに手を挙げる。

“広瀬真を勝たせてはいけない”

あの衝撃を前に、そのことを覚えていた奴がどれだけいただろうか?

「優勝は――……!」

長いタメとドラムロールが鳴り響く。
会場全体が緊張感に包まれた。

「広瀬真――――!!」