姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―


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私の通う私立青藍高校は、生徒の自主性を重んじる緩さと、白基調のまるで商業施設のようなスタイリッシュで綺麗な校舎が売りの学校だ。

その中でも特に洗練されているのがこのカフェテラス。

全面ガラス張りで中庭の豊かな緑と青空が白い校舎に美しく映える開放感が最高。


……ただし今、その景観は損なわれている。

窓際のソファ席を遠巻きに取り囲む様に、女共がギチギチに列を成す。
そこにいる誰もが浮き足立っていて、キャーキャーと黄色い声で騒いでいる。

細い体を更に細くしてもみくちゃになりながら、色めき立つ女共の間を縫って進軍する。

(――さて。もみくちゃの代償、払ってもらいましょうか♡)

優雅にソファに座っている3人の男に狙いを定めて妖しく微笑む。

さっき買ったカフェラテ片手に、私は背筋を伸ばして可憐に歩き出した。

――――
――……

「あのぉ……相席、いいですか?」

遠慮がちなソプラノボイスに、三者三様の顔をした男共が一斉にこっちを向く。

それと同時に女共の攻撃的な視線も一気に背中に突き刺さってゾクゾクした。
(決してマゾ的な意味ではなく。)

男達は未だ何も言わずに目を見張ったまま。


女に話しかけられたのがよほど珍しいかったのだろうか?

しかもこんな絵に描いたような美少女だし。


……それにしてもこんな顔だけの無愛想な奴ら、どこがいいんだろ?

人当たりよく微笑みつつ、内心冷静に3人を見下ろす。


黒髪の男は無表情で、何を考えているのか全く分からない。

金髪の男は警戒心むき出しで、子供っぽく私を睨みつけてくる。

茶髪男は唯一愛想が良さそうだけど、胡散臭いヘラヘラ顔が信用ならない。


近くで見れば見るほど「そんなに騒ぐほどか?」と思えてルッキズム思想に辟易する。


すると、黒髪が無関心そうにフイと私から顔を背けた。