姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―


「!」

躊躇いなく口端に触れた人差し指が、何かを掬い取るようにそこを拭う。

身を屈めて少し距離の詰まった榛名聖の顔が、妖艶に微笑んだ。

「ついてたよ?クリーム。」

スン。

背後に花でも背負ってそうなくらい艶やかなのに胡散臭い。

何なら子供っぽいとバカにされた気がしてちょっとムカついた。

「わざとだし。」

「え〜、ぜーったい気づいてなかったでしょ〜?」

「そんなことないし。あざとテクですー。」

「そういうことにしといてあげよー⭐︎」

「だからお前らは何でそういうことを平然とやるんだよッ!」

赤面した広瀬真が目を吊り上げながら言った。
やってもやられてもない奴がなんで1番動揺してるんだか。

榛名聖に「ムッツリ⭐︎」と煽られて喧嘩が始まったところで、近江涼介は我関せずで「うるさ。」とだけ呟いた。

「あ、あのっ!“ひめちゃん”ですよね!?」

見れば、同い年かちょっとしたくらいの女2人組が目の前に立っている。