PM 16:00
――学校近くの図書館
「来たね近江涼介クン。さぁさぁ座りなさいよ。」
「……なんだその妙なテンション。」
先に図書館の学習スペースで待ち構えていた姫が、得意顔で自分の隣の席を叩いた。
ちなみに待ち合わせはしていない。勝手に待ち伏せしていたのだ。
「なんか今日ぜんっぜん喋ってなかったからさー。元気かな?って思って。」
俺が隣に座るなり、“やれやれ”のモーションをして足を組み出す。
“それはお前が昼休み中コンテスト主催者に粘着していたからだ”と思ったが、口に出すと面倒くさそうなので言わないでおく。
「元気だけど。」
「そ?ならいいのよ。」
俺の返事を聞いて安堵したのか、姫はふい、とテーブルに向き直り広げていた宿題に手をつけ始めた。
「俺が来なかったらどうしてたわけ?」
「さー?宿題して帰ったかな?
来なかったら来なかったでいいのよ、元気だったってことでしょー。」
宿題と向き合いながらさらりとそんなことを言う。
別にこの図書館は駆け込み寺ではないんだが。
姫には俺がここに逃げ込んでいるように見えるのか。
(そしてそこで待っていると言うことは、俺を元気づけようとしたってことだ。)
ブラインドの隙間から、明るい夕陽が差し込んで、姫の白くて丸みのある横顔を朱く染める。
朝から雨だったのに、そういえば帰る頃にはすっかり晴れていた。
「眩し……っ、ちょっと近江涼介!ブラインド閉めてきてー。」
静かに椅子から立ち上がると、姫の反対隣に立って机に手をつきその背に夕陽を受け止める。
姫の姿が俺の影に隠れた。
「ちょっと、暗い!…何、窓のとこまで行くの面倒くさかったの?」
顔を顰めた姫が、「意外と横着なのね。」と可笑しそうに笑う。
くしゃりと細くなった目と首を傾ける仕草が人間味があって好きだと思った。
――学校近くの図書館
「来たね近江涼介クン。さぁさぁ座りなさいよ。」
「……なんだその妙なテンション。」
先に図書館の学習スペースで待ち構えていた姫が、得意顔で自分の隣の席を叩いた。
ちなみに待ち合わせはしていない。勝手に待ち伏せしていたのだ。
「なんか今日ぜんっぜん喋ってなかったからさー。元気かな?って思って。」
俺が隣に座るなり、“やれやれ”のモーションをして足を組み出す。
“それはお前が昼休み中コンテスト主催者に粘着していたからだ”と思ったが、口に出すと面倒くさそうなので言わないでおく。
「元気だけど。」
「そ?ならいいのよ。」
俺の返事を聞いて安堵したのか、姫はふい、とテーブルに向き直り広げていた宿題に手をつけ始めた。
「俺が来なかったらどうしてたわけ?」
「さー?宿題して帰ったかな?
来なかったら来なかったでいいのよ、元気だったってことでしょー。」
宿題と向き合いながらさらりとそんなことを言う。
別にこの図書館は駆け込み寺ではないんだが。
姫には俺がここに逃げ込んでいるように見えるのか。
(そしてそこで待っていると言うことは、俺を元気づけようとしたってことだ。)
ブラインドの隙間から、明るい夕陽が差し込んで、姫の白くて丸みのある横顔を朱く染める。
朝から雨だったのに、そういえば帰る頃にはすっかり晴れていた。
「眩し……っ、ちょっと近江涼介!ブラインド閉めてきてー。」
静かに椅子から立ち上がると、姫の反対隣に立って机に手をつきその背に夕陽を受け止める。
姫の姿が俺の影に隠れた。
「ちょっと、暗い!…何、窓のとこまで行くの面倒くさかったの?」
顔を顰めた姫が、「意外と横着なのね。」と可笑しそうに笑う。
くしゃりと細くなった目と首を傾ける仕草が人間味があって好きだと思った。



