姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―

聖の言う通り、俺達は明らかに浮いている。
それはそうだ。普段から一線引かれてる上にこれまでの準備にも参加していない。すでに他のクラスメイトで成り立っている環境に急に放り込まれても入っていけるわけがない。

「だから参加しないほうがいいのよ。文化祭準備⭐︎なんてクソイベント。」

周りが騒がしいのをいいことに姫が堂々と悪態をつく。
“クソ”と称したクラスメイトがみんなで楽しそうに準備を進める様子を見つめる横顔は、拗ねた子どものようだった。

(わかりやすい奴。)

顔に出るほど感情は素直なのに、そこに自覚が全くない。
感情を捻じ曲げて孤独と闘ってきた結果なのだろう。
後、無駄にプライドが高いせい。

「委員長。」

偶然通りかかったクラス委員の男を呼び止める。
委員長は一瞬きょとんとした後、自分が意外な奴に呼び止められたことを認識して挙動不審に頷いた。

俺が誰かに声をかけるのが余程珍しかったのか、聖も真も姫も何事かと目を見張っている。

「何か仕事ある?」

「ええ!?ええーっとー……ああ、じ、じゃあポスター作成、とか……?でも、いいですか?
お願いします!」

言いながら手に持っていた画用紙とマジックペンのセットを渡された。

同級生なのになぜ敬語なのか。
中学まではそんなことなかったのに。

表情や言動ひとつでこうも印象が変わる。
高校で得た気づきの一つだ。

「どうしたの〜?涼ちゃんヤル気じゃない。
でも、あー…この仕事は…ひーちゃんとまーくんは退場かな⭐︎」

姫と真に向かってヒラヒラと手を振る聖に、2人揃って「なんで!?」と噛みつく。

「絵心ないからだろ。」
「「ひど!!」」

ストレートな俺の言葉に何やら文句を言っていたが、最終的にミス・ミスターコンテストの打ち合わせに呼び出されて姫と真は渋々ながらも強制退場することになった。