姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―


「握ってる!普通の!おにぎりを!握ってる!!」

この時間、さっきも驚いたばかりだけどまた驚いた。

この衝撃は今日一、いや、今年一かもしれない。

びっくりバカの料理音痴・広瀬真がちゃんとした(ように見える)おにぎりを握っていたからだ。

「得意料理だって言っただろうが。」

程よい力加減で数度握って綺麗な三角形を形成し、丁寧に海苔を巻く。

手つきはなんか覚束なかったけど、完成品は端正なおにぎりだ。

「すごい……広瀬真の手からちゃんと食べ物に見えるものが精製されるなんて……」

思わず広瀬真と榛名聖の側に回っておにぎり(仮)をまじまじと観察する。

(仮)としたのは味の保証がないからだ。

正直味はヤバいんじゃないかと疑ってる。
そのくらいびっくりバカの料理スキルには信用がない。

「でもまぁこれは普通のおにぎりに見えるし。
ひーちゃん食べてみたら〜?」

笑顔を取り戻した榛名聖がハイ、とおにぎり(仮)の乗った小皿を渡してきた。