姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―


「うーん、ちょっとケバいか。なんか厳つい……。」

もともと目力強めだから、あんまりアイラインは引きすぎちゃいけなかったかしら。
でも可愛い印象にするためにはこのくらいはしたいところ……

「リップ塗ればちょっとは目の印象薄まるかな?
ってことでハイ、上向いて軽く口開けてー……」

顎を持ち上げて下がった顔を強制的に上げさせる。

言いながらつい自分もぽかんと口を開けて、濃いめのピンクのリップを広瀬真の唇に乗せる。

「唇(うす)っ!立体感出ない!」

自分のとは違う感触と仕上がりにびっくり。

「雰囲気見るだけだしとりあえずいっか。
っていうかちゃんとこっち見て。眉間の皺もなくして。」

数秒かけてちょっとだけ眉間の皺を弱めながら広瀬真の目線が正面に戻ってくる。

やっぱり目元のメイクが気に入らなくい。

じっと目を見つめていると、広瀬真の眼球は落ち着きなく動く。

見ている内にリップの色ムラも気になってきて、顎を掴んだ人差し指を立て、不意に広瀬真の下唇をなぞった。

「……ちょっ、タイム……!」

広瀬真がビクッと揺れて狼狽する。

顎を固定して唇に触れる私の手を掴もうと手を伸ばした時、勢いよく教室のドアが開いた。