姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―


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気付けば閉館時間が迫っていて、私達は慌てて館内を飛び出した。

10月も近づくこの頃はあっという間に陽が沈むから、外はもう薄暗い。外気は生温いけど風は涼しくて気持ち良かった。

「……じゃあね!」

特に話すこともなくなったから、出てすぐに近江涼介に向かって手を挙げる。

近江涼介ももういつもの無表情に戻っていて、「ん。」と短く返事をした。

近江涼介は駅の方、私は家の方向と、それぞれ反対方向に歩き出す。


「姫。」

数メートル歩いたところで呼び止められて、振り返って立ち止まる。近江涼介もこっちを向いていた。

「また明日。」

びっくり。

それだけのためにわざわざ呼び止めたの?

そう思ってる間にもう背中を向け始めた奴に向かって、私も大きな声で言う。


「また明日!」