静かで薄暗い空間。
無音と呼べる静寂が私達を包んでいる。
「……今日真と話して、」
近江涼介は目を伏せたのと同時に口を開く。
ほんの少し緊張が伝わった。
「うん。」
だから私は、静かに頷く。
「“自分らしい”って、“自分”って何だろうって初めて考えた。」
「うん。」
「俺には真や姫みたいな意志の強さも、聖みたいな執着心もないし。“らしさ”なんて何もない、と思った。」
「……うん。」
「けどそれが“俺”か、
……と姫の話を聞いた今は割と前向きに思う。」
弱々しく手を握り返される。
それが縋っているように感じて、私はより強く近江涼介の手を握った。
「そうよ!これで全員俄が強かったら今頃友達になってないから!
近江涼介にはバランスをとってもらわないと!」
「…………俺の負荷でかいな。」
「あーら、今頃気づいたの?でももう遅い!
広瀬真も榛名聖も私も。
無関心に見えて実は誰よりも私達を理解してくれてる、近江涼介のそういうところが好きよ。」
ブラインドを突き抜けて、真っ赤な夕日が室内を照らす。
近江涼介の顔も夕陽色に染まっている。
「……ありがとう。」
そう言って、満面の笑顔。
(何よ、可愛く笑えるじゃない。)
初めて見る表情に驚いたと同時に嬉しくなって、私も一緒に笑ってしまった。



