「涼ちゃんにはさ、“押し付け”は逆効果だよ。」
「え?」
言葉の意味がわからず、榛名聖を見上げる。
窓から差し込んだ光が榛名聖を淡く照らしている。
「それよりさ、聞いてみたいよねぇ。涼ちゃんの話。
何が好きで、何が嫌いなんだろー?
俺達って意外とお互いのことあんまり知らないのかも。」
何が好きで何が嫌いか……
近江涼介が今、何を思ってるのか。
確かに聞いていなかったかも。
“助けたい”ばっかりで、結局自分の気持ちの押し付けだった気がする。
見えた光を取り込む様に目を見開く。
窓も開いていないのに、風が吹き抜けた気がした。
「――お茶淹れようか」
“やれやれ”と肩を竦めて榛名聖が立ち上がる。
「榛名聖!」
その手を掴んで呼び止めた。
「ありがとう!私、近江涼介と話してみる!」
「――どういたしまして。」
私を見下ろす目が、ふっと優しく細くなる。
榛名聖のほんのり温かい手が、私の手を柔く握り返した。
「ひーちゃんが望むから、俺は力になっただけだよ。」
空気が少し温かくなる。
“よし、やるぞ”と私は強く頷いた。



