「やっぱ無理だよ、いつも通りなんて。」
「んー……どうしてそう思うの?」
榛名聖は私から目を逸らさない。
さっきまで子どもみたいだったのに、その微笑みは大人みたいだった。
「だってもう“知ってる”もん。
見て見ぬ振りなんかできない。」
キュッと唇に力が入って、眉根が寄る。
「私は変えたいの!
……できれば、いい方向に。」
静かな部屋に、言葉が反響した気がする。
榛名聖はクスクスと肩を震わせ、ゆっくりと上体を起こした。
「まっすぐだねぇ、ひーちゃんは。」
困った様な、それでいてどこか嬉しそうな顔。
私を見下ろす榛名聖は、“仕方ない”と息を吐いた。



