「涼ちゃんおかえりなさい!今日の夕飯はハンバーグだからね。早く宿題済ませちゃいなさい。」 「マジ?やった、すぐ終わらせるね。」 穏やかに笑う母親に、無邪気な息子を演じてみせる。 ある時、自分の笑顔に初めて違和感を持った。 (……知られたくない。姫にも聖にも真にも。) そこに何かを思うことなんてなかったのに、こんな俺を知られることが恥ずかしいと思ってしまった。 ――――今、姫が俺の目の前で感情が溢れるのを堪えるように震えている。 俯く彼女が何を思っているのか、まだ俺にはわからなかった。