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次の日も作り物女は俺達に纏わりついてきた。
聖曰く、名前は藤澤姫というらしい。学校中の目立つ男を誑かして回ってる奴なのだとか。
その目的は知らないし、知りたいとも思わない。
不快な気持ち悪さから逃れたくて、無視をし続けるだけ。
――ただ、その印象はすぐに変わることになる。
真と聖と別れて1人で旧校舎に避難して、HRまでの時間を潰す。
窓際に座ってぼんやりと本を眺めていると、急に外が騒がしくなった。
ドン、と何かがぶつかる鈍い音。
その後で低い女の声がずっと何か言っているのが聞こえる。
ケンカだろうか?だとしても興味はないけれど。
「ちょっと!聞いてんの!?」
ヒステリックな叫び声が、窓を閉め切った2階の部屋まではっきりと聞こえた。
『涼ちゃんはにんじんが嫌いなの!!食べられないの!』
あの時の母親の剣幕を思い出してヒヤリとする。
咄嗟に、窓の外を伺い見てしまった。



