「姫ちゃん!…来てくれたんだね!」
「………。誰?」
嬉しそうに笑うヒョロい男に、訝しげな顔をする。睡眠不足でつい猫を被れなかった。
「ひどいなぁ、僕だよ。この間も呼びだしたでしょ?」
…ああ、この間の植木鉢落とされた時にいたモヤシか。
ジャガイモ以外の野菜だったから、なんとなく思い出した。
ニコニコと笑うモヤシにはどこか余裕を感じる。この間はもっとおどおどしていたのに。
見れば、周りには小太りだったり眼鏡に七三だったり、“いかにもオタク”なジャガイモが他に3人立っている。
なるほど。モヤシ、さてはイキってるな?
「今日呼んだのはね、姫ちゃんに忠告したいことがあるからなんだ。」
私の冷ややかな視線などお構いなしに、モヤシはにこやかに話し続ける。
窓もドアも締め切られた湿度高めの教室に漂う異様な雰囲気。
他のジャガイモ達のニヤニヤした視線が、まとわりついて気持ち悪い。
「忠告?……って、なんですかぁ?」
“あまり刺激しない方が得策”と即座に脳が判断して、無理やりぶりっ子スマイルを作ってさりげなくドアへ後退りして背をついた。
ドアを閉めたのは失敗だった。でも、退路は確保したから、タイミングを見てサッと開けて逃げよう。
――そう思ってたのに、次いだ言葉に反応してしまった。



