姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―


「あるでしょ。夏祭りでのことも、この家も母親も、不可解なことばっかり!
ちゃんと説明してよ!じゃないとアンタを助けられない――……」

「知られたくなかった。」

急に上体を起こした近江涼介が私を見下ろす。

熱が下がったとは言え、まだ具合が悪いのだろう。
汗で髪が濡れていて、瞳もいつもより潤んでいて顔も少しだけ赤い。

それがとても人間的で、いつもより強く感情の揺れを感じさせるから――――悲しい。

「じゃあなんでそんな辛そうな顔するのよ!苦しそうなのよ!いいから話して!

何があっても絶対失望しないし、助けるし、ちゃんと受け止めるから――……!」

私の感情が先に爆発してしまって、声を張り上げたせいで息切れする。
広瀬真にブチギレるなと釘を刺されたのにやってしまった。

でもしょうがないじゃないか。
頑なすぎる近江涼介が悪い。

怒りなのか悲しみなのか、グチャグチャの感情で顔を顰める。

近江涼介はそんな私をじっと見つめ、そしてそっと頭を撫でて口を開く。

数秒の沈黙が落ちる。
まるで何か重いものが落下する直前のように。

「……長くなるけど聞いてくれるか?」

私の髪を乱すその手は、いつもの優しい動き。

「くだらない俺の身の上話。」

近江涼介の心の扉が、今、開く音がした。