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近江家のインターホンを押すと、近江母が出迎えてくれた。
ちょうど買い物に行くところだったようで、私に近江涼介の見守りを任せて出ていってしまった。
近江涼介の自室で、ベッドの前に正座して、私に背を向け布団にくるまる近江涼介に向き合った。
部屋の空気が苦しいほど静かだ。
窓の外で車が通った音が聞こえた。
「榛名聖から聞いた。熱、下がったみたいでよかった。」
何も返事が返ってこない。
けど、コイツからの無視はもう慣れっこだ。
「近江涼介。私、アンタのことをちゃんと知りたい。
全部話してほしい。」
「話すことは何もない。」
また拒絶。余程言いたくないのだろう。
下がりそうになる眉を意識して持ち上げる。
ギュッと目にも力を込めた。
――でも、私は打ち破りたい。



