「……聖の話も合わせると、涼介は家とその周囲で“涼ちゃん”でいることを強いられてることになるんじゃないか?」
「なんで?どういう意味?」
トンチのような考察に首を捻る。
だって“涼ちゃん”は近江涼介で。
本人が本人を演じる意味なんてなくないか?
「理由は知らねーけど。
涼介の母親が言ってたっていう涼介の人物像と、祭りの日にお前が見たっていう“爽やか涼ちゃん”は一致するだろ?
つまり、涼介は親の前では爽やか涼ちゃんでいるってことだろ。しかも昔から常にずっと。」
「そっちが本来の姿って可能性もあるけど〜。
涼ちゃんの言動を見るに、俺達の知る涼ちゃんの方が本物な気がするよねぇ。」
「そうよね…じゃああとはその理由……。」
「……ところでひーちゃんは、涼ちゃんの秘密を暴いてどうしたいの?」
榛名聖の問いかけに、思考がピタリと止まった。
「どう…って……それで近江涼介が苦しんでるなら助けようって……」
榛名聖は穏やかに微笑んでいる。
広瀬真は「何を今更」とでも言いたげな顔で榛名聖を見ていた。



