夏祭りのことも昨日の出来事も全て話終わった後、2人は怪談話でも聞いた様に複雑な顔をして黙っていた。
「そ……れは……お前の夢とか勘違い…」
「ではない。」
「……だよな?」
広瀬真がまた頭を抱え始めた。
今の感想もふざけていったわけではない。フィクションの様な話に理解が追いつかず、思わず言ってしまったのだ。
「まぁ確かに俄には信じ難い話だけどぉ……。
涼ちゃんが“涼ちゃん”って呼ばれることに不快感示してたことの理由としてはなんとなく理解できたかなぁ。」
うんうんと1人で納得して頷く榛名聖を、私と広瀬真は驚いて見つめる。
「アンタ……近江涼介が嫌がってたって気づいてたくせに“涼ちゃん”って呼んでたの?」
「性格悪ッ……。鬼畜かよ。」
「いやぁ、涼ちゃんに出会った頃は俺が1番ひねくれてた時期だったからぁ。」
ドン引きしている私達を宥める様にヘラヘラと緩く笑う榛名聖。
広瀬真はしばらく榛名聖を軽蔑した目で見た後、咳払いして話を元に戻した。



