―――旧校舎、空き教室。
「――で、ひーちゃんはどうして寝不足だったの?」
丸テーブルを3人で囲み、榛名聖がにこやかに頬杖をついて私に迫る。
ちなみに1時間くらいは眠らせてもらったから、今は2時間目の授業が始まったくらいの時間帯。
広瀬真も私が話し出すのをじっと待っている。
「………………。」
でも私は悪さをした子どもの様に下を向いて唇を結び、話すのを躊躇っている。
だってあれは近江涼介が誰にも触れてほしくなさそうな秘密だから。
……でも、私1人で抱えるには大きすぎて、2人になら話してしまいたい気持ちもある。
榛名聖は、私の心の葛藤を見透かしたのだろう。
緩やかに私の肩に手を回してそっと顔を覗き込み、優しい声で言った。
「ねぇひーちゃん?俺達は“友達”なの。
だから今ひーちゃんのことをすごーく心配してるし、助けたい。
何があったのか話してほしいんだよねぇ。」
それを聞いてハッとする。
――そうか。
私は今友達に心配をかけているのか……!
それならちゃんと話した方が……
いやでも、近江涼介の秘密だし……
強く結んでいた唇が、ぐぐぐ、と持ち上がったのを見て、榛名聖と広瀬真は「もう一押しか」と目配せする。
榛名聖は私の肩をゆっくりと叩きながら話し続けた。


