近づいていいのかわからなくて、数歩前で立ち止まる。
「具合は……まだ悪いか。」
はは、と1人乾いた笑いを溢す。気まずい沈黙。
さて、何から聞けばいいのか……
「スルーしろって言っただろ。」
布団の中低く淡々とした声が聞こえた。
言われた。確かに言われたけどさ。
「無理だよ、だっていろいろ変……」
「いいから、ほっとけ。」
はっきりとした拒絶。“これ以上は踏み込むな”ってことだ。
ぐ、と言いかけた言葉が全部引っ込んだ。
声色があまりに暗いから、それに逆らっていいのかもわからない。
「……また来るから!」
――重い空気を払えぬまま、その日は何も言えずに帰ってしまった。


