姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―


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近江涼介に言われるままに、普通の住宅街を歩き、普通の一軒家の前に辿り着く。

その表札には“近江”の文字。
ここが近江涼介の家ということ?

え、金持ちお坊ちゃんじゃなかったの……?
いや、都内庭付き一軒家もすごいけども!

広瀬真や榛名聖のワンダーランドを見てしまった後だと、ちょっとしっくりこないというか……

今までの思い込みを全て覆してきた光景に、状況も忘れて頭にハテナを浮かべまくる。

「散々普通って言ってきただろ……。」

近江涼介はそんな私の後ろ頭を弱々しく叩いて、玄関の門を開け私を招き入れる。

ガチャリとドアを開けた音に反応して中で誰かがパタパタと走ってくる音が聞こえた。