姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―


「聖、ちょっと手伝え!コイツめちゃくちゃ熱い!
多分ずっと我慢してたんだ!」

榛名聖も飛んできて、広瀬真と2人で近江涼介の体を支えてソファまで連れて行く。近江涼介はなすがままになってドサリとソファに倒れ込んだ。

「……悪い……。」

苦しそうな呼吸を繰り返しながら、近江涼介が絞り出す様に謝った。
広瀬真と榛名聖がゆるゆると静かに首を振る。

「具合悪い時はちゃんと言ってくれないと〜。びっくりしたよ、もう。」

「今日は帰れ!誰か迎え来られるか?
来られないなら俺が車呼んで……」

「いい。」

今度ははっきりそう言った。
相変わらず苦しそうなままなのに。

「……いい、1人で帰れる。」

青白い顔に、冷や汗が伝っている。

肩は浅い呼吸に合わせて小刻みに上下していて、ぐったりとした様子は少しも大丈夫そうには見えない。

「バカかお前は!
そんな状態で1人で帰れるわけないだろ!車がダメなら俺が付き添うし…」

広瀬真の説得に、近江涼介は頑なに首を縦に振らない。
その理由は多分、“アレ”が関係している気がした。