「涼ちゃん風邪〜?珍しいねぇ、大丈夫?」
向かい側に座っていた榛名聖はちゃんと咳き込む場面を見ていたらしい。
少し心配そうに近江涼介を見ている。
「なんでもない。……ック」
あ、今控えめに咳をした。
口を閉じたまま咳をするなんて器用な奴め。
私も広瀬真もすっかり戦意喪失して静かに椅子に腰掛ける。
まるで何もしていませんとばかりに飄々としている近江涼介を2人でじっと観察した。
「なんか心なしかいつもより顔色悪くない?」
「だな。熱でもあるんじゃねぇの……
……あるわ。」
言いながら無遠慮に近江涼介の額に手を当てた広瀬真が、驚いた顔で私達の方を見た。
その途端、ガタンと椅子が動く音がして近江涼介が広瀬真の方に倒れ込む。
「近江涼介!?大丈夫!?」
広瀬真に覆い被さる様になったまま、苦しそうに荒い呼吸を繰り返している。



